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筆記具の基礎知識


1. 筆記具の魅力

洋服を選ぶように、お気に入りのデザインを選べる。

万年筆の色はシンプルな「黒色」。そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?でも、実は、その色や素材はメーカーや モデルによって様々なのです。目を奪われるほど鮮やかなオレンジボディの万年筆。スーツの胸ポケットに挿しても映えるシルバーの万年筆。 思わず見とれてしまうデザインとカラーを持つ万年筆がたくさんあります。あなたならどんなデザインを選びますか?

書き続けても、疲れない

「万年筆は使いにくい・・・」という先入観をお持ちの方もいらっしゃるかもしません。しかし、1、2日使っているとすぐに慣れてしまうものです。 慣れてしまえばこれほど使いやすい筆記具は他にありません。なぜなら、ボールペンのように強く力を入れて書く必要がなく、ペンの重みに 任せるようにして書くことができるからです。例えば、年賀状に一言コメントを書き続けるのも楽になります。

温かみのある文字を書ける

万年筆の最大の魅力は、「味わい深い文字を書けること」です。文字の「にじみ」や「色の濃淡」には、パソコン文字にはない温かみがあります。 「万年筆で書かれた手紙は忘れられない。」そんな声もよく耳にします。人の心に残るメッセージを伝えることができるのも、万年筆の文字の 魅力かもしれません。

2. 中古筆記具をお勧めする理由

  • 良い筆記具をリーズナブルに入手できるのが、大きな魅力の一つです。定価の4~5割の価格で販売している モデルも多くあります。(年代の古い筆記具や限定品など販売当時より価格の 高い商品もあります)ペリカンをお使いのお客様が「いつか欲しい」とおっしゃる 「スーベレーンM1000」もリーズナブルな値段で手に入れることができます。
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  • 思わず目を奪われる美しいボディ。優雅な意匠が施されたペン先。 美しいデザインの「数量限定」の筆記具はアッという間に、売切れてしまうことも。 でも、そんな人気の筆記具も中古ならば入手も夢ではありません。モンブランファン垂涎の的である作家シリーズ「ヘミングウェイ」の万年筆は、中古だからこそ手に入る一本です。
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  • 両親や恩師が使っていた「憧れの万年筆」。 毎日大切に使っていたのに、なくしてしまったボールペン。 そんな懐かしい一本を見つけることが出来るのも魅力の一つです。 昔のモデルの中には現行品(現在生産中のモデル)にはない 温かみや味わいを感じさせてくれるものがあります。 パーカーの「#75シズレ」などはそんな懐かしさを感じるペンの代表格かもしれません。
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  • 現在生産されているモデル(現行モデル)はペン先が比較的硬めのものが多くなっています。 しかし、昔のモデルの中には、ふわっと柔らかなペン先やぐっとしなるペン先が存在します。お好みではありますが、こういったペン先の心地良さが「万年筆の醍醐味」であるとおっしゃる方もいます。しなるウィングニブを持つモンブラン「#254」はそんな中でも非常に人気の万年筆です。
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3. 初めての万年筆選び

初めての万年筆選びで理想的な方法は、お店で3~4本を選び、試し書きをしていただくことです。手に持ったときのバランスや実際の 書き味などがご自分に合っているかご確認いただくのが一番良いかと思います。さらに、お店に足を運んでいただく前に万年筆を選ぶ際 の「基準」をお持ちであれば、よりお選びいただきやすくなるかと思います。以下、一つの基準として参考にしていただけたら幸いです。

「一目惚れ」で選ぶ

「一目惚れ」した万年筆があったときは、思い切ってその万年筆を選んでみてください。 毎日でも使いたくなるような色やデザインを選ぶことは何よりも大切だと考えます。 毎日使うことによって万年筆の良さが引き出されるからです。 その万年筆を基準にして、似たような色、デザインで探してみるのも良いかもしれません。

「使う場面」で選ぶ

皆さんは、どんなときに万年筆をお使いになることが多いでしょうか? もし、仕事などでお使いの場合は、細めや小さめサイズの万年筆が使いやすいかもしれません。 ご自宅でお使いになるなら、書きごたえのある大きなサイズもお勧めです。

「文字の太さ」で選ぶ

万年筆の紙と接する部分を「ペン先」と言います。 このペン先のサイズで「文字を書いた時の字幅」が決まるのです。 手帳や日記などに小さく文字を書き込むなら細字のペン先、 手紙を書くなら太くて存在感のある文字を書ける太字のペン先がお勧めです。 ペン先の素材はステンレススチールや14金、18金など様々です。 一つのペンを末永くご使用いただくことをお考えなら、 酸化にも強い金のペン先がお勧めです。

4. 万年筆の名称

5. 万年筆の字幅

代表的な字幅

EF
(EXTRA FINE)
エクストラファイン 極細字

細い文字をはっきりと書くことのできる字幅です。小さな文字を手帳や ノートに書き込む場合にお勧めです。

お勧めの用途:手帳、履歴書、ノート

F
(FINE)
ファイン 細字

普段使いにお勧めの一般的な字幅。初めて万年筆をお使いになる方にもお勧めです。

お勧めの用途:手帳、ノート、手紙

M
(MEDIUM)
ミディアム 中字

Fに比べてやや太めの字幅。細字とともに一般的な字幅です。

お勧めの用途:手帳、ノート、手紙

B
(BROAD)
ブロード 太字

太くて見栄えのする文字を書くことができます。年賀状にもお勧めです。

お勧めの用途:手紙、サイン

BB
(BROAD BROAD)
ブロードブロード 極太字

太字よりもさらに太めで、ぬらぬらとした心地良い書き味を楽しめます。筆記具好きなら一度は手に入れたい字幅です。

お勧めの用途:手紙、サイン

その他の字幅、特殊ペン先

O
(OBLIQUE)
オブリーク 傾斜文字

ペン先が傾斜していることを意味します。右利きの方が左側(内側)に万年筆をねじって書く場合にお勧めです。OM(オブリーク中字)、OB(同太字)などと表記されます。

K
(KUGEL)
クーゲル 球状細字
球状中字

ドイツ語で「球」(KUGEL)を意味します。モンブランのクーゲルはその名の通り、ペン先が球状になっていて、縦、横の字幅が同じになります。ペリカンのクーゲルは通常のペン先よりも若干厚みが増したような形状です。ふわりとした書き心地が人気で入荷数の少ない貴重なペン先です。KF(クーゲル細字) 、KM(クーゲル中字)などと表記されます。

S ソフト 軟細字
軟中字

ペン先が軟らかく字幅の強弱が出やすいペン先です。比較的筆圧の弱い方(ペンの後方を持たれる方)にお勧めです。SF(ソフト細字) SM(ソフト中字)などと表記されます。

FA フォルカン 中細字

SF等よりも軟らかく、毛筆の筆跡になります。字幅強弱が強調でき、筆圧の弱い方(ペンの後方を持たれる方)に特にお勧めです。

PO ポスティング 極細字

ペン先を下にした硬めの極細字です。ペンの開きが少ないため帳簿などで小さな数字や文字を書かれる方にお勧めです。

WA ウェーバリー 中字

ペン先を上向きにした中字です。筆記角度を問わずに軟らかいタッチで滑らかに筆記できます。

SU スタブ 縦太横細字

縦線は太字、横線は中細字です。字幅が異なるため、文字に味わいが出ます。

C コース 特太字

特に大きな文字を好まれる方にお勧めです。

N 長刀研ぎ 細字
中字

セーラー長原宣義氏によって生み出された、刀の剣先のように、長く研ぎ出したペン先です。ハネ、止め、払いなどが多い漢字を最も美しく筆記するために、ペンを寝かせると太めの線が書け、立てると細めの線が書けるという特長があります。NF(長刀研ぎ細字) NM(長刀研ぎ中字)などと表記されます。

Z ズーム 太字

比較的太い文字が書けます。ペンを寝かせると太めの線が書け、立てると細めの線が書けるという特長があります。

MS ミュージック 縦太横細字

本来は楽譜用です。太字よりさらに太い文字の書ける字幅です。

SEF 細美研ぎ 極細字

セーラー万年筆のペン職人、長原幸夫氏が創り出した独創的なペン先です。極細字よりもさらに細い文字が書けます。

6. ペン先素材

金(21金、18金、14金等)、ステンレススチールなどがあります。やや高級な ものになると14金以上のものが普及しており、インクの酸に腐食されにくく、 適度な弾力性があります。 (金の純度が高ければ、その分だけ性能が高いという わけではありません)デザイン性や耐久性を考慮しロジウムや金メッキなどで銀色 や金色にコーティングされたものもあります。

7. ペン先(ニブ)の形状

オープンニブ

一般的に万年筆と聞いてイメージする形状です。
フーデッドニブと比較する際に使われる呼称です。

フーデッドニブ

ペン先、ペン芯の保護及び、インクの乾燥防止を目的にペン先、ペン芯が 首軸に覆われています。パーカーの#51やラミーのラミー2000などのモデル に使われています。

ウィングニブ

モンブランで1950年代から1960年代に主に生産されていた柔らかい書き味の ペン先です。イカのような形をしているので別名「イカペン」とも呼ばれます。 1950年代の#252・#254・#256などのモデルに使われています。

象嵌(インレイ)ニブ

胴軸と首軸が一体型になったニブです。ペン先は硬めで、筆圧の強い方にお勧めです。 シェーファーのインペリアルやプラチナのプラチナプラチナなどのモデルに使われています。

8. ボールペン&ローラーボールについて

ボールペン

乾燥に強く文字が変質しにくい油性の替え芯を装填した筆記具です。水性と比べるとしっかりとした書き味です。尻軸を押して芯を出すノック式やボディをひねって芯を出すツイスト式等の機構があります。

ローラーボール

色調が鮮やかな水性の替え芯を装填した筆記具です。油性と比べるとサラサラとした書き味です。ほとんどのローラーボールがキャップを取り外して筆記するキャップ式の機構ですが、ラミーなどの一部モデルではツイスト式の機構も存在します。

9. 素材用語集

10. 吸入方法の種類

  • 01. 吸入式(回転吸入式、ピストン式)

    尻軸を回すことで内部シャフトが上下 運動をして、インクボトルからインクを 吸入します。カートリッジ・コンバーター 両用式とともに一般的な吸入方法です。

  • 02. カートリッジ・コンバーター両用式

    「コンバーター」という吸入器を装着する ことで吸入式のようにインクボトルからイ ンクを吸入できます。また、コンバーター の代わりに「カートリッジインク」というイ ンク入りの筒を装着すればそのまま筆記が できます。

  • 03. カートリッジ式

    「カートリッジインク」というインク入り の筒を装着すればそのまま筆記ができます。 カートリッジインクは携帯できるため、 外出先・旅先などにも持ち込めます。 コンバーターは使用できません。

  • 04. レバー式(レバーフィラー)

    ボディの横にあるレバーを引き上げた状態でインク瓶にペン先を入れ、下ろすことでインクを吸入します。内部の板金がゴムサックを押すことで吸入をする仕組みです。

  • 05. ボタン式(ボタンフィラー)

    インク瓶にペン先を入れ、尻軸のボタンを数回押すことでインクを吸入します。内部の金具がゴムサックを押すことで吸入をする仕組みです。

  • 06. バキュマチック式

    1940年にパーカーから登場した方式。尻軸のキャップを外し、インク瓶にペン先を入れ、ロッドを7、8回上下させてインクを吸入します。

  • 07. プランジャー式

    20世紀初頭から使われている方式。尾栓を緩めてロッドを引き出すことで軸内に真空状態を作り出します。そして、インク瓶にペン先を入れ、押し出す事による内部圧の違いでインクを吸入します。

  • 08.タッチダウン式

    シェーファーにより開発された空気圧を利用する方式です。尾栓を緩めて吸入機構を引き出します。そして、インク瓶にペン先を入れ、押し出す事によりインクを吸入します。

  • 09. スノーケル式

    ペン先をインクに浸さずに吸入が出来るシェーファー独自の吸入方式です。尻軸を回すとペン芯からパイプが伸び出します。その後、尻軸をを引き出し、インク瓶にパイプを入れて、尻軸を軸に押し込む事によりインクを吸入します。

11. インクの吸入方法

■ ご準備いただくもの : きれいな柔らかい布や繊維の毛羽立ちが無いキッチンペーパーなど

吸入式

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    1,尻軸の吸入ノブを左へ止まるまで回してください。(ピストンが下に下がります)
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    2,ペン先が完全に隠れるようにインクの中に浸けてください。
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    3,吸入ノブを右に回してインクを吸い上げてください。(2~3度繰り返してください)

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    4,インクを吸い上げたら吸入ノブを少し左に回してインクを2~3滴落としてください。
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    5,ペン先を上に向け吸入ノブを右に回してください。
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    6,首軸についたインクをきれいな柔らかい布やキッチンペーパーなどで拭きとってください。

コンバーター式

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    1,本体を回して胴軸をはずします。
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    2,首軸にコンバーターを差し込んで止まるまで強く押してください。(モンブラン、デルタなど時計回りに回しながらコンバーターを差し込むモデルもございます。コンバーターのネジ山の有無でご判断ください。)
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    3,吸入式と同様にインクを吸入してください。

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    4,インクを吸い上げたら吸入ノブを少し左に回してインクを2~3滴落としてください。
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    5,ペン先を上に向け吸入ノブを右に回してください。
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    6,首軸についたインクをきれいな柔らかい布やキッチンペーパーなどで拭きとってください。

カートリッジ式

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    1,本体を回して胴軸をはずします。
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    2,首軸にカートリッジを差し込んで止まるまで強く押してください。(カートリッジの先に穴が開き、インクが流れます。)
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    3,本体を回して胴軸を取り付けます。

12. クリーニング(手入れ) の方法

万年筆を使用し続けると、ペン芯にほこりがたまったり、インクが固まったりするため、定期的に(3ヶ月に一回程度)水またはぬるま湯でクリーニングしてください。吸入式、コンバーター式の場合はコップに水を入れ、インク吸入の要領で水を吸入、排出して色が出なくなるまで繰り返してください。カートリッジ式の場合は一昼夜ほど水に浸けてインクを溶かしてから、弱い流水にあててください。洗浄が終わったら、柔らかい布などで水分を吸い取ってください。使用するインクの色を変更する場合も同様に洗浄してください。※損傷を与える可能性があるので、アルコールなどの薬剤は使用しないでください。

■ ご準備いただくもの : 水またはぬるま湯を入れたコップ・きれいな柔らかい布やキッチンペーパー

吸入式

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    1,インクが残っている場合は、吸入ノブを回してタンク内のインクを抜き空にしてください。
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    2,水の中にペン先全体を入れて、インク吸入の要領で水を吸入、排出して色が出なくなるまで繰り返してください。
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    3,弱い流水などで軽くすすぎ、最後にきれいな柔らかい布やキッチンペーパーで水分を拭きとってください。

コンバーター式

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    1,ペン先とペン先の付いた部分(大先)を水で軽くすすぎ、水の入ったコップの中に一昼夜ほど浸けたままにしておきます。
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    2,その後コンバーターを取り付け、インク吸入の要領で水を吸入、排出して色が出なくなるまで繰り返してください。
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    3,弱い流水などで軽くすすぎ、最後にきれいな柔らかい布やキッチンペーパーで水分を拭きとってください。

カートリッジ式

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    1,ペン先からカートリッジインクを取り外します。
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    1,ペン先とペン先の付いた部分(大先)を水で軽くすすぎ、水の入ったコップの中に一昼夜ほど浸けたままにしておきます。
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    3,弱い流水などで軽くすすぎ、最後にきれいな柔らかい布やキッチンペーパーで水分を拭きとってください。

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